「売却益より賃料収入」これからの不動産投資を考える


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最近の不動産市況をみると、東京を始めとする都市部で回復のきざしを見せている。

国土交通省が2015年3月18日に発表した今年1月1日時点の「地価公示」によると、三大都市圏(東京、大阪、名古屋)の場合、住宅地は前年比0.4%の上昇、商業地は1.8%上昇となり、ともに2年連続のプラスとなった。とりわけ商業地で東京は2.0%の上昇率となり、08年のリーマンショック以来となる高い伸び率を記録した。

バブル崩壊やリーマンショックなど、「失われた20年」の間、消費者は不動産投資にずいぶん慎重になり、物件売買で収益を得る発想をすることが難しくなった。しかし都市部での地価が回復している現在、もう一度、不動産投資を検討してみてもいいのではないか。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏にカイセツしてもらった。

風呂内氏は不動産市況が回復に向かっている要因について、以下のように説明する。

不動産投資は賃貸収入がオススメ?

「2013年~2014年前半、多くの企業がリーマンショック時に黒字倒産を恐れて手放した割安の物件が市場に流通しました。その後、消費税が8%になることを見込んだ駆け込み需要があったことも不動産価格上昇の要因になりました。そしてしばらくは2020年の東京五輪の期待感が下支えとなるでしょう」。

次第に良くなる不動産市況。風呂内氏は不動産投資には「安く購入して高く売る」と「賃貸収入で儲ける」の2種類あると説明した上で、一般的な消費者は後者をねらったほうが無難であるとの見解を示している。

では「賃貸収入で儲ける」ことを考えた場合、どのような物件を選ぶとよいのだろうか。同氏は日本の不動産の特徴を説明しながら、以下のように回答する。

「日本の不動産は非常に長持ちするのですが、消耗品のようなイメージでみられています。新築物件が購入後すぐに下落するなどの特徴があります。とはいえ都市部で駅から近いなど、好条件をそろえた人気物件は買ってすぐに大きく下落することは少ないです。築10~15年の物件でも分譲当初と変わらない、もしくは値上がりすることがあります」。

しかしこうした物件の価格はもともと高く、賃貸料収益の差を考えた場合、多くの利回りが得られない可能性もあるという。

意外と知られていない売却時のリスク

とはいえ、賃貸であれば入居者さえ確保できれば毎月決まった収入を安定して得ることができる。それでは不動産の売却益をねらうやり方はどうか。風呂内氏は「一般消費者にはお勧めしない」と述べた上で、不動産売却について、以下のような事例を挙げながら説明する。

「売却の際には、物件価格の約3%+消費税(上限)などの仲介手数料がかかります。したがって、購入時に組んだローンの残高と同じ価格で売却できたとしても赤字になる計算です。また、融資を受ける場合、金融機関が担保評価をします。売却したい中古物件が低評価だった場合、買い手は低い融資しか受けられなくなります。購入できる人がまとまった現金が出せる人に限られてしまうリスクもあります」。

風呂内氏は税金の高さについても言及している。

「購入して5年以内に不動産を売却した場合、売却利益の約39%の税金が課せられることになっています」。

さらに風呂内氏は、税金計算の基となる利益を算出する際、「取得価格」も考慮に入れるよう釘をさす。

「物件を売却した場合、建物の「取得価格」は経年によって減価償却した分は差し引かれます。利益は「売却額-物件取得時の額」よりも大きくなることもあるため、思っていたよりも税負担が多いケースもあります。」。

そして、不動産業者との媒介契約の仕方もポイントになる、と風呂内氏は述べる。

「不動産を売却したいときには不動産業者と媒介契約を結び、買い手を探してもらうことになります。媒介契約には専属専任、専任、一般の3種類あります。専任専属はほかの業者と契約しないという条件なので、業者は親身なって買い手を探してくれる反面、自分で買い主を見つけることもできないという注意点があります」。
(以下のグラフは各媒介契約の特徴)

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バブルが崩壊して久しく、土地神話も聞かれなくなった現在、不動産が急激に高騰する可能性は極めて低い。都市部の不動産市況が好転する中、消費者が不動産をどう扱うのか、注目すべきところだ。

インタビュー先:ファイナンシャルプランナー 風呂内亜矢氏
記事作成:ライター 藤川健太郎氏


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