マスメディアも進出!?クラウドファンディングの新潮流


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朝日新聞社メディアラボは2015年3月25日、クラウドファンディング「A-port」をオープンした。このクラウドファンディングは朝日新聞の強力な発信力を背景に、より多くのユーザーにリーチすることが期待されている。

担当者によると、朝日新聞の紙面、オンラインのハフィントンポストで情報を発信することも考えられ、これまで情報を得ることができなかったユーザーにも届けることが期待できるという。しかし公共性が要求されるマスメディア、新聞社が投資性を帯びたクラウドファンディング事業に参入するのは意外なことだとも受け取れる。新聞社がこの事業に参入する理由は何なのだろうか、またそこからどのような流れが読み取れるか、今回はこれらをテーマとしてカイセツする。

すばらしい公益活動でも資金は必要、公共性が要求されるマスメディアがクラウドファンディングへ

朝日新聞社メディアラボで、「A-port」の立ち上げに尽力した中西和子氏はこれまで企画事業部門などで、乳がんの早期発見の大切さを伝える「ピンクリボンキャンペーン」や、女性活用を含め誰もが活躍できる社会を目指した「ダイバーシティープロジェクト」などを立ち上げ、プロデュースをしてきた。このほかにも啓発活動に携わり、多くのNPOに関わりを持ってきた。そこで気づいたのは「NPOであってもボランティアには限界があり、資金が必要」ということ。社会にとって有意義なことをしている彼らにお金が回る仕組みが存在していないことを知ったことも、マスコミの力を借りた情報発信力の強いクラウドファンディングを立ち上げる要因の1つになったという。

日本のクラウドファンディングは「購入型」のイメージ、マスメディアの進出に抵抗感は小さい

とはいえ、クラウドファンディングは資金調達のプラットフォームであり、「事業に対して投資家が出資する」構図に変わりはない。公共性を要求されるマスメディアが投資関連事業に関わることに問題はないのだろうか。

クラウドファンディングは4つのタイプに大別される。「A-port」のホームページによれば、集めた資金を全額寄付に当てリターンを期待しないという「寄付型」、出資者がプロジェクトの利益から配当という形でリターンを受け取る「投資型」、出資者が利子という形で、一定のリターンを受け取る「融資型」、支援者が見返りとしてモノやサービス、権利という形での特典を受け取る「購入型」の4つの種類がある。うち、朝日新聞のクラウドファンディング「A-port」は「購入型」のサービスに該当するため、投資色は弱い。

日本では、クラウドファンディングはCAMPFIREやREADYFOR?など「購入型」が最も多く、「出資に対してモノで応える」スタイルが最も定着しているようだ。日本では金融商品取引法が障壁になり、「投資型」や「融資型」への参入は非常に難しい。さらに日本人は貯蓄中心で、「ハイリスクハイリターン」の投資を敬遠しがちであることも、購入型の普及を促すことになり、一般的に「クラウドファンディング=投資・融資」のイメージを弱くしている。こうした背景がマスメディアの参入を容易にしている可能性がある。

強力な情報発信力で地域活性化を、地方マスメディアもクラウドファンディングに関心

地方マスメディアもクラウドファンディングに参入している。

地域を盛り上げるプロジェクトに特化したクラウドファンディングサービスを運営するサーチフィールドは前年、静岡新聞社と静岡放送に運営を委託した。地元に密着したマスメディアの両社は地域情報の発信力を通じて、多くの人から地元事業の支援を仰ぎ、地域活性化を図っている。

いま日本では地域創生が叫ばれている。しかし、地域に貢献できるアイデアがあるのに情報発信力の限界と資金不足の足枷(あしかせ)で、思うように事業を展開できない事業主・団体は多い。これらの救世主としてマスメディアの力を借りたクラウドファンディングが登場し始めた。これまで埋もれていた小さな事業がマスメディアの発信力によって多くの人に知れ渡る。これは多くの事業者に夢を与える新しい流れといえるだろう。

ライター 藤川健太郎


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