“身近にヘルスケアがある”生活の到来 ― HealthとGoogle Fitの意味


 6月に開催されたAppleの開発者向けイベントWWDC2014では、次期iOS 8で健康管理アプリが標準搭載されることが発表されました。
 その後、6月23日にはGoogleの開発者向けイベントでも、健康管理サービス「Google Fit」がスタートすることが発表されています。
 ちょうど同じ時期に「健康」をテーマにした機能が2大OSで発表されることには、どんな意味があるのでしょうか?
 ハワイ、ニューヨーク、日本を中心にヘルスケアガジェット・アプリを広めるエバンジェリストとして活動する堀永弘義氏に話を聞いてみました。

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iOS 8の目玉の一つとして発表されたHealth

ポイントは健康データを総合的に見られること

「これまではいろんなデータを取るアプリやガジェットがあったけど、それがApple主導でひとつにまとめられた、ということが大きいでしょう」
 次期iOS 8で搭載されるHealthの最大の特徴について、堀永氏はこう語ります。
「特に機能として何か新しい数値が取れるとか、これまでになかったものが載るわけではないですが、データを総合的に見ることができる。ユーザーにとってのメリットはこれが一番大きいのでは」
 堀永氏によると、ヘルスケア関連のガジェットやアプリは数年前から市場に数多く登場しており、現在は血圧、脈拍、血糖値、睡眠、歩数などさまざまなデータが計測できる状態が乱立しているとのこと。
 ただ、それらは個々の機器やアプリの中にデータがあり、それぞれにアクセスして参照する必要がありました。

「健康状態を本当に知るには、それぞれの相互関係を見たうえで判断できた方がいい。例えば、走ったときや寝ているときなどのそれぞれの状態で数値がどうなっているのか?、摂った食事や活動量など、複数のデータがひとつにまとまっていることで、より正確な状態がわかるでしょう」
 アプリ開発者であると同時に、薬剤師免許も持つ堀永氏。評価するポイントとして、ばらばらなデータが総合的に見られる、ということに意味があると語ります。

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ひとつの画面で健康データが一覧でき、何のデータを管理しているかも画面ひとつでチェックできる

過度な期待はせず、参考までに使う

 ただし、医療者でもある堀永氏から医療者側の反応を聞くと、
「賛否両論ですね。本来の医療機器に比べるとやはり精度は落ちるので、中途半端な情報を持って病院に来られても……(正直、仕事は増えるかも)という声はあります」
と、案外実際には使えないのでは……と懸念したくなるコメントが。

 実はここには、Appleの本国であるアメリカと日本の医療事情の違いがあります。
 国民皆保険が始まったばかりのアメリカでは、自分の健康管理をお金をかけて行うのが当たり前。しかし日本では、異常があれば誰もが数割の負担で高精度の医療機器を使った検査が受けられます。
 となると、気休め程度の利用?
「ただ、異常が見つかったときにデータを遡って見たり、本格的な医療データとしては使えなくても参考にはできると思います」
 一応、日本のユーザーでもまったく使えないわけではないようです。

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tlapalli,Inc代表の堀永弘義氏。東京薬科大学薬学部卒業後、渡米し、自らも医療関連アプリの制作を行う。

「ヘルスケア」はこれからのスマホ標準の機能へ

 もうひとつ、ガジェット好きには今後のiWatchやGoogleのOSに対応したさまざまなウェアラブル端末との対応に期待したいところです。
「もちろん、AppleもiWatchを見据えてこのサービスを出したと思います」
 と、堀永氏も語りますが、基本的にGoogleFitについても同じような機能をAndroid端末に提供することから、
「iPhoneを使っていればHealth、AndroidユーザーならGoogleFitと、今後はすべてのスマホユーザーが日常的に健康管理をできる環境になります」
と、ガジェットなしでも普通の人たちが健康サービスを使えることがまず大きいと見ています。

 ヘルスケアガジェットも一通り出揃い、「今後は機能よりデザインで勝負する流れになるでしょう」ということだし、健康アプリも出尽くした感がある今、「データを集約する」というのが最終的なサービスの方向性ということでしょうか。
「個人的には、OSの中に健康・フィットネスの機能が入るのは、人々の意識を高めるという意味ではいいと思います」と堀永氏が語るように、「何が測れる?」という競争の時代から一歩進んで、日常として健康管理ができる時代がもうすぐ来そうです。
 天気やニュースをチェックするのと同じように、今日の自分の身体をチェックする――ヘルスケアが常に身近にある生活が、将来の健康不安に怯える私たちにとっては今一番うれしいサービスなのかもしれません。

本創 ひとみ

書籍編集者を経て、さまざまな分野で執筆・編集中。手がけている主な分野は、起業、マネー関連、医療、社会起業、(少し)ITなど。

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