「未経験者はいらない」中国の新卒採用事情


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日本でおなじみの「新卒一括採用」。この採用システムは日本独自のシステムで、世界のスタンダードではないとされている。

本当にそうなのか。今回は、就職活動及び人事の分野であまり注目されてこなかった中国の就職事情を取り上げ、カイセツする。

新卒だからこそ、「就職が難しい」

お隣の中国の就職戦線を事例としてみてみたい。2015年の卒業見込み生は前年比22万人増の749万人となり、人数は過去最高を記録するようだ。しかし企業側はこれら学生に対する興味は薄い。「仕事の経験がないこと」が最大の原因だ。中国メディアの取材によると、企業担当者の90%が「仕事の経験のある学生が欲しい」と回答している。
中国の就職活動では、日本の第二新卒に当たる就労3年未満の若者のほうが新卒より有利だ。短期とはいえ業務経験があり、即戦力として使えると考えられるからだ。企業にとって「卒業見込み」であるか「既卒」であるかは関係ない。業務を遂行できるスキルがあるかどうかがモノサシとなる。したがって仕事の経験がない新卒の職探しは難しい。さらに昨今では海外留学を経て中国で仕事を探す若者が増えていることから、中国国内の大学の学生たちは限られたパイを巡り、厳しい就職戦線を勝ち抜かなければならなくなっている。

スキルのない学生たち、インターンシップで職業訓練

スキルがなければ雇ってもらえない。したがって社会経験のない学生たちは少しでも自身の技能を身に着けようと、必死だ。コンピュータのスキル(ワード、エクセル、パワーポイントなど)を学校で習得しつつ、語学やコンピュータの資格などを取得しようと日夜勉学に励む。そして、学校の長期休暇の際には、これらを応用し、新たなことを学ぶため、インターンシップを試みる。中国メディア、人人網が2015年1月、大学生を対象にした調査によると、調査対象の66%の学生が冬休みの長期休暇を利用してインターンシップをしていた。

インターンシップの経験こそが就職のカギに

中国メディア、鳳凰網が企業に対して実施した調査によると、企業が学生を採用する要因の一位は「自社の職務に関連するインターンシップをしていた」(30.6%)だった。この次に、「職務に対する志望動機が明確」(25%)が続いている。企業が求めている職務に対する意識が明確で、それに関連するインターンシップを続けた学生がから好まれるようだ。人材を一定人数確保して、入社後にそれぞれのポストに振り分けていく日本の企業とは違い、中国の企業はまず職務ありきで、それに見合う人材を採用する方式であるため、関連したインターンシップ経験と明確な志望動機を求めるのだろう。

就職せずにベンチャー企業を立ち上げる学生も

就職を望む学生がいる一方で、果敢に起業する学生も一定以上いる。鳳凰網によると、大学卒業後の進路で起業を選択した学生は全体の6.6%だった。(就職:71.2%、大学院に進学:16.9%、留学:5.6%)。政府の企業家向け補助金や投資環境が充実してきたことや、社会が起業にポジティブな雰囲気があることが要因とされる。学生の起業理由も「夢を実現したかった」(27.4%)、「興味があることを仕事にしたかった」(20.8%)と非常に前向きだ。

まとめ

中国でも企業が学生に求めるのは「大学卒業見込み」という身分ではなく、「職務を遂行するスキル」だ。さらに企業が嫌なら起業することも自由だ。自分の事業を持ちながら企業で働く強者も多い。求められるのはスキルと成果。そういう意味で中国はやはり、欧米に近い。

ライター 藤川健太郎


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