実現が進まないカジノ解禁、危惧される問題とは?


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昨年5月に安倍首相がシンガポールのカジノを視察し、カジノ解禁の機運が高まったが、昨年11月の衆議院の解散によって、結局廃案となった。

今国会でも、カジノを含む統合型リゾートを推進する超党派の国際観光産業振興議員連盟(IR議連)が、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(IR推進法案)を提出した。しかし、与党内でも慎重論があり、成立の見通しは立っていないとされている。

2020年の東京オリンピックに向けて、カジノ解禁による経済効果を期待する声がある一方、治安の悪化やギャンブル依存症への懸念などから、根強い反対論もある。カジノの解禁が進まない理由について、これらの点を中心にカイセツする。

日本人の利用規制が焦点

今回提出されたIR推進法案では、ギャンブル依存症への懸念を払しょくするため、日本人の利用を規制する内容が織り込まれている。入場できる人の範囲や、入場料徴収などの措置ついて規定を設けるとされ、具体的な内容は、法案成立後1年以内に提出が義務付けられる実施法案で策定される。

この実施法案での規制内容こそが、日本のカジノのあり方やギャンブル依存へ大きく影響するとされる。

日本が手本としたいシンガポールの規制とは

カジノの解禁で、観光客の誘致に成功しているとされるシンガポールは、国際観光立国を目指す日本が制度設計のお手本としようしている国。2010年に開業した、シンガポールを象徴する施設となったマリーナ・ベイ・サンズと、リゾート・ワールド・セントーサの2つのカジノがある。

シンガポールでは、カジノへは21才以下は入場が禁止されており、自国民は入場料として8000円ほどを支払う。銀行ATMはカジノの入り口の近くにあるものの、カジノ内への設置は禁止されている。さらに、ギャンブル依存症国民協議会(NCPG)は、ギャンブル中毒者のカジノへの入場を禁止する拒否命令の発行権限が与えられた機関。本人のみならず、家族の届け出でも、入場を拒否することを可能としている。また、日本でいう生活保護対象者の入場も禁止されている。

規制は一定の効果を得ているものの、実際に本人や家族の申し出で入場禁止となった人は20万人を超え、自己破産者も出しているという負の側面もある。

ギャンブル依存症の問題が深刻な韓国

韓国はシンガポールよりも前に、カジノを解禁した国。韓国にはカジノは17箇所あり、そのうち韓国人が利用できるのは、2000年にオープンした江原ランドのみ。かつての石炭の街は、カジノの誘致によって、質屋が立ち並ぶ街に変貌した。

入場料は700円と安く、月15回までの入場制限が設けられている。江原ランドが運営する中毒管理センターには、述べ5万人ほどがこれまでに訪れ、2014年までに48人の自殺者が出ているという。

ギャンブル依存症とともに深刻とされているのが、カジノ周辺の治安の悪化。カジノでお金を失ったカジノホームレスが住みつき、窃盗などの犯罪が増加したことで、人口はむしろ減っているとされている。

賛否両論のあるカジノ解禁。地方再生の切り札とするためには、治安の維持が課題となるであろう。日本で実現するためには、カジノの功罪はもとより、解禁した場合の日本人の利用の規制や、治安悪化に対する対策等、まだまだ議論が必要なようだ。


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