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David Trunzo

STI Wealth Management

最高投資責任者

米国の不動産ローン市場を分析!

米国の商業不動産ローン市場において、借り手のニーズは満たされることなく、拡大を続けています。

商業不動産(以下“CRE”)市場は、2008〜2009年の世界金融危機以降、著しく回復してきました。しかしながら、CREおよび商業不動産ローンの全てのセグメントが同様に回復している訳ではありません。アジアを拠点とする不動産ファンドのCIOで、アーンスト&ヤング米国拠点の元監査人であるDavidTrunzo氏が、米国商業不動産ローン投資に対する彼の考え方を示しています。Trunzo氏のファンドは、ロサンゼルスのウエストサイドを中心に15の異なる場所で種々の開発ステージにある150M米ドル程の住宅開発プロジェクトを保有していますが、そのうち約65%がプライベートローンを利用して購入されています。現在のファンドが今年後半に満期を迎えるため、Trunzo氏は米国不動産にフォーカスしたローンファンド(シニア及びメザニンローンや優先出資)を設立しているところであり、これはアジアにおけるTrunzo氏の既存の融資プラットフォームを補完する予定です。

Chen Forchi

Strand Strategic Group

共同創業者・最高経営責任者

Forchi(フォーチ氏): ロサンゼルスのStrand Strategic Group: 不動産事業・金融関係会社の最高経営責任者

Strand Strategic Group社 Forchi氏(以下SSG): 米国の商業用不動産に対する現在の融資環境はどのような状況ですか?

私は、均衡がとれていない状況と考えます。ムーディーズないしRCA商業不動産価格指数(以下“CPPI”)によれば、国内のCRE価格は、目下、2007年11月に達した過去のピーク(インフレ調整前)を26%〜30%上回っており、また、近年、二桁成長を継続しています。しかしながら、その回復は、均衡がとれていない状況です。より安全でより流動性が高いと認識されている不動産市場は、投資家が利回りを求めていることもあり、資本流入が続き最も高い利益をもたらしています。そのため、主要CRE市場の価格はピーク時から45%以上上昇したのに対し、非主要市場は11%しか上昇しておりません。同じ傾向が個人CREセクターでも見られます。例えば、集合住宅の価格は55%、ビジネス中心街のオフィスは50%上昇しましたが、商業施設の不動産価格は、近年で最も激しく下落したこともあり、同期間に2%程度下落してしまいました。

SSG: 借り入れ枠の格差の原因は何ですか?

需給の不一致が挙げられます。これにはいくつかの力が作用しています。供給の観点からは、2008〜2009年の危機後、より厳しい規制と資本要件により、歴史的にCRE向けローンの最大の貸し手である商業銀行はより管理され、危機前より制約を受けるようになりました。モーゲージ・バンカー協会によれば、2007年に最もCREローン融資を行った金融機関の3分の1は、もはやこの市場で積極的な融資を行っておらず、現在でも融資を行なっているその他の金融機関もあまりリスクを取らなくなってきているとのことです。銀行の基準も厳しいものへと戻りました。一方、需要の観点からは、米国の不動産市場は様々な理由により好調に推移しており、個人投資家や地元のデベロッパーによって多くの取引が実行されているものの、そのすべてにおいて、銀行からの資金調達が困難であるという状況が続いています。次の表は、(新築や住宅改装などを含まない)住宅転売セグメントにおける資金調達需要が増加している状況を示しています。

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SSG: 世界的金融危機から9年経った今、満たされていない借り手のニーズはどこで最も見ることができますか?

銀行は必要に迫られて保守的になりました。その結果、不動産投資家は金融危機前よりも多くの自己資金を出さざるを得なくなりました。加えて、銀行は、個々の借り手に貸し付けている個人ローンの総額を抑制するようになっています。また、以前であれば銀行は不動産評価額の80%(あるいはこれを超えることもたびたびあった)の貸付金額上限として融資を行っていたにもかかわらず、今日では上限が60%から65%に制限されています。こうした動きの多くは関連法令と通貨監督局(OCC)によって推進されており、2016年には、与信集中リスクの拡大と銀行のCRE向け融資ポートフォリオに対する融資基準の緩和に懸念が提起されました。それ以来、銀行は、融資する地域、融資先および融資の条件を大幅に厳しくしてきました。事例を一つ挙げます。フロリダ州で大規模な事業を展開する地元の住宅建設業者が3,000万ドルのエクイティ資本を調達し、借入をして多数の案件を仕込もうとしました。しかし、取引銀行は、住宅開発融資には応じるが、宅地造成に対しては融資したくないとのことだったため、代わりにプライベート・レンディングを利用しました。

融資基準が厳しくなるにつれ、「持たざる者」のリストが拡大し続けています。ブルックリン、オースティン、ダラス、シアトルなどのトップマーケット以外の資産を持つ借り手が融資を非常に必要としています。加えて、ロサンゼルスなどエクイティ投資家にとってとても魅力的な市場は不動産価格が高く、フロリダやテキサスより多くの自己資金が必要になり、不動産価格が過去のピークレベルを超えて回復するにつれ、より多くの融資資金が必要になっています。これらの借り手は、通常、LTV比率65%以上の融資を必要としています。彼らは、建設途中であるなどしてまだ収益を生み出せていない不動産を保有していて、多くの収益機会はあるものの、銀行との関係が確立されていなかったり、個人保証を提供できなかったり、あるいは他のプロジェクトのために自らのバランスシート上の全資産を使い果たしてしまっているのが現状です。

SSG: プライベート・レンダーの典型的な投資機会について説明して下さい。

“典型的“と呼べる債権投資案件は存在しないため、私が関与している3つの例を通して説明します。例1は、カリフォルニア州ニューポートビーチの2つの高級住宅建設プロジェクトにおける「キャッシュアウト・リファイナンス」です。例2は、3つのタウンハウスを建築中の小規模デベロッパーに対して、エクイティ出資ではなく、70万ドルの「メザニン/優先出資」を提供することにしたものです。例3は、ロサンゼルスの小さな4棟の戸建て建築です。

「キャッシュアウト・リファイナンス」について。私たちは土地購入と市への建築許可取得費用などランニング・コストのためにキャッシュを支払いましたので、建設資金を賄うためには、収益を見込めそうだった他のプロジェクトのためのキャッシュの一部をこちらの案件に転用する必要がありました。銀行が融資に一切応じなかったのに対し、プライベート・レンダーは、約150万米ドルのキャッシュアウト・リファイナンス(約50%のLTC)に応じてくれました。そのプライベート・レンダーは、過去数年間に毎年10億ドル以上の融資を実行していますが、そのエリア並びにそこでの2棟の住宅の想定売却価格に違和感がなかったため、70%のLTCまたは60%のLTVで融資してもリスクプロファイルを増加させるものではないと認識していました。現在、それら2棟は当初の推定販売価格よりも約15%高い価格で売買契約を締結済みです。

「メザニン/優先出資」について。長年取引関係にあるSSGとの提携と、ロサンゼルスの住宅市場に関する両者の深い知識の結集により、13-15%の固定リターンがこのプロジェクトでは魅力的なリスク調整後収益であると判断しました。プロジェクト、場所、タイミング、完成品に関連するすべての項目はすべて納得できるものでしたが、担当デベロッパーのことをよく知らなかったので、まずリスクに焦点を当てるため、私たちはメザニンローン/優先出資を提供することを決定しました。一方で、このデベロッパーは、正社員の確保などほかにも優先的に取り組まなければならない課題を抱えていて、時間の経過とともに(プロジェクトの)価値を低下させてしまうのではないかといったことが懸念されていました。現在、3つのタウンハウスはすばらしい状態にあり、すべて6月末までに完成する予定です(1つは昨年12月に竣工前セールが終了、その際の販売単価はこれまでの記録に近いものでした)。しかし、様々な理由からプロジェクトは予定より約12ヶ月の遅れがでており、デベロッパーに対する我々の当初の懸念が現実のものとなりました。また、このプロジェクトでは、70万ドル近く予算を超過したため、この超過分については、出資者に対する追加出資が求められることとなりました。プロジェクト期間の長期化とコスト超過により、エクイティ出資者のIRRは、我々が目標とした年次収益率を下回る結果となりました。ここでのポイントは、あなたがシニアレンダーかそれより劣後レンダーであるかにかかわらず、時間はレンダーの敵ではないということです(むしろ、時間は多くの場合あなたの味方です。なぜなら、長期間にわたって高い金利や延滞手数料を借り手から徴収することができるからです)。しかし、一方で工期の長期化はエクイティ出資者のリターンを確実に減少させます。また、プロジェクトが予算超過し、出資者が追加費用負担をせざるをえなくなった時には、工期の長期化と同様に、彼らのリターンは往々にして、かなり大幅に減少します。

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4棟の小規模宅地開発について。我々は、10月中旬にこれらを完成させ、そのうち3棟はクリスマスまでに売買契約を締結しました。しかし、市の業務量が多すぎるということで、市は(ガス、水道などの)公共施設の設置や行政が定める修繕に係る最終的な認可を延期したために、顧客は契約を締結できていません。これが認可されなければ、「占有証明書」を得ることはできません。また、売却資金で負債を返済することも、投資家への支払いを行うこともできません。結局、IRRは、収益をあげるタイミングが7〜8ヶ月遅れたことと、追加の利息負担のため、約350bps下がることとなってしまいました。また、融資の満期が6月に控えていますので、貸し手へ延滞手数料を支払う必要がでてくるかもしれません。

これらの例からもわかるように、合理的なLTCとLTVの下で不動産担保ローンの貸し手となることは、特に今の市況では、エクイティ出資者となるよりも、リスク調整後リターンが高くなることがわかります。これらの例は、私たちの次の不動産ファンドがエクイティではなくレンディングを対象にすることになった理由であり、特に今後2、3年の間は、不動産担保融資に有利なマーケットとなるでしょう。

SSG: 投資家は不動産不況を招いた過ちを再び犯さないために何をしていますか?

我々は、CRE与信審査には3つの重要な要素があると考えています。第一に、融資条件の設定や制限条項に対する規律ある体系的な取り組みです。貸し手を守る条項を含まないと融資案件を獲得できないような場合には、その案件から進んで手を引く必要もあります。第二は、借り手となる事業出資者の質です。事業出資者の潤沢な資本準備金や、彼らが不動産市場において自分たちのポジションを長期的な視点でどのように見ているか、を重視しています。最後に、我々の不動産チームのエクイティ投資家としての経験を活用し、必要に応じて、不動産が所在するエリアの市場関係者と協力して、不動産に関する価値とリスクについて詳細かつ健全な見通しを立てます。我々は、不動産鑑定評価に頼りません。これらの原則を守ることが損失を軽減するのに役立ち、市場経済が不景気になっても我々の融資ポートフォリオが実質的に優れたパフォーマンスを発揮する可能性を引き上げてくれると考えています。

David Trunzo経歴

STI Wealth Management

最高投資責任者

アジア系のプライベート・エクイティ不動産ファンドの最高投資責任者のデビット氏は総額US$100,000,000以上の二つの投資ポートフォリオのデューデリジェンスプロセスを担当。

現在まで監査・財務報告・デューデリジェンス・投資管理・ポートフォリオ構築など28年以上経験し、キャリアの最初の7年はアメリカのErnst and Youngで金融・不動産関連とヘッジファンド取引先で監査役を担当する。また、ATP TourとPGA Tourの財務取締役を務め、アメリカのゴルフ場の買収、US$40,000,000のゴルフ場の所有権を保有。2001年以降、日本、台湾、香港などのアジア地域において様々なポートフォリオの構築・管理・デューデリジェンスを担当。

インタビュー内容はDavid Trunzo氏の個人の見解であり、当社の見解ではございません。