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小林 弘樹

Kobayashi Hiroki

株式会社アキュレートアドバイザーズ

公認内部監査人(CIA)

公認不正検査士(CFE)

宅地建物取引士

金融商品取引業者の知るべき情報

Crowd Bank(以下CB): クラウドファンディング市場の成長に伴い、様々な問題も指摘されているが、現状をどのように見ていますでしょうか?

クラウドファンディング市場は、政府の推し進める成長戦略である“新規・成長企業への円滑な資金供給を実現する”と言う基本方針のもと、平成26年の金融商品取引法等の改正により、事業参入要件が緩和され、矢野経済研究所の調査結果によると、平成28年度の新規プロジェクト支援額は745億(平成26年度は221億円)に拡大するなど、急激な拡大を続けています。

少し前まで、資金調達と言えば銀行融資が主流でしたが、銀行融資の対象となりにくい、新興企業の事業資金、短期の不動産売買資金、海外新興国への資金供給などが、クラウドファンディング、中でも貸付型(ソーシャルレンディング)クラウドファンディングにより賄われ、まさに新規・成長企業への円滑な資金供給に大きな役割を果たしており、今後も市場は大きく拡大することが確実視されています。

これに伴い、様々な問題も指摘されはじめており、特に一部のクラウドファンディング事業者による詐欺まがい

① 募集した資金を、顧客に説明した資金使途とは別の使途に意図的に使用する
② 利払いや元本の償還が出来ない状況にあるにもかかわらず、資金を募集する

という事態も発生していると聞いており、クラウドファンディング市場への信頼性確保のためには、早期の捜(調)査機関による事件化も必要であると思われます。

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CB: ファンディング事業者の不正行為について過去の捜査経験も踏まえて教えて頂けますでしょうか?

私が捜査を担当した2001年の大和都市管財事件(詐欺)では、1,100億円の被害が発生しましたが、大まかな事件の流れは、

・自社(グループ会社を含む)の資金不足を補うために架空の融資契約で設定した抵当権を根拠に、抵当証券販売で資金を募集したが、架空融資契約なので利息収入は無いにも関わらず、顧客には利払いを実施

この時点で、既に資金不足は発生しており、

・利払い資金をねん出するために、ゴルフ場投資などを実行するがことごとく事業失敗、手形を分割して販売したり、最終的には期待利回り20%以上の匿名組合を組成するも資金が枯渇し破たん

という流れでした。

資金が枯渇し、利払いや元本償還が出来ないにも関わらず、新たな商品で資金を募集したことで詐欺罪に問われ、有罪判決となった事案です。

破たんに至る過程で、抵当証券利回り3~4%から、最終的には匿名組合期待利回り20%まで、利回りが急激に高くなったという特徴がありました。

利回りの低い魅力ない募集では資金が集まらないので、資金不足を補うため、どんどん利回りを高く設定し、投資家集めに奔走したというのが実情であったと思われます。被害額が少ない同様の事案でも流れはよく似ており、募集した資金を、募集会社と関係のある企業等へ融資すると言うスキームは特に注意が必要で、投資家は、ファンドで集めた資金がどのように運用されるのかをしっかり確認する必要があると思います。

CB: インターネット上では金融庁が免許を下ろした業者だから安心だと思ったという意見もありますが、その点は如何でしょうか?

金融商品取引業者二種の登録があるだけで安心な業者と判断するのは早計だと思います。金融庁としても、人的要件、資産要件等が具備されていれば、登録を拒否することは難しいと思われ、また、登録をスムーズに行う事によってクラウドファンディング市場の拡大を推進することは、政府の成長戦略に則していると思います。

問題は事業を開始してから、その事業者が何をしたか?今後何をしようとするか?です。業者に対する判断指標として、金融庁(財務局)の検査結果及び検査結果に対する対応を確認するというのも有効です。

金融庁証券取引等監視委員会は、金融商品取引業者に対する検査(今後、検査のあり方は変わるようであるが)を行っており、検査結果に基づいて金融庁へ行政処分を行うように勧告し、金融庁は勧告を受ける形で行政処分を行っています。

行政処分には、重いものから、登録取り消し、業務停止命令、業務改善命令などがあり、業務停止命令以上の処分は、法令違反等が悪質もしくは特に重大な場合に行われるものであり、金融庁の公表資料によりその内容をよく確認し、一時的な問題なのか、また具体的に解決する取り組みを行っていることが明らかとなっているか等をチェックする必要があります。

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CB: これまでの話を伺うと、登録を受けた金融商品取引業者だというだけでは安心できないということでしょうか?

もちろん、投資家保護の施策を積極的に行い業務運営している金融商品取引業者が大多数であるとは思います。すべての業者に言えることですが、営業部門はどうしても会社の売上や利益を重視するあまり、時に投資家に対して不誠実な行動を取るリスクがあります。

そのため、経営者には金融商品のみならずコンプライアンスに関する知識・経験を持った者を置き、営業部門と独立してコンプライアンス部門を設けることにより社内で牽制を効かせることが金融商品取引業者には義務付けられており、その部分では登録が無い業者より圧倒的に安心感はあると思います。また、第二種金融商品取引業者は第二種金融商品取引業協会に、第一種金融商品取引業者は証券業協会に加盟しているかどうかも参考になると考えられます。協会は組合員に定期的な報告を義務付けているので、ある程度の外部的な牽制も効いていると思われるからです。

CB: コンプライアンスの観点では第一種金融商品取引業者と第二種金融商品取引業者では異なりますでしょうか?

第二種金融商品取引業者は、ファンド形式の商品販売等を行う業者が主で、クラウドファンディング事業者の大多数が第二種金融商品取引業者であると思われます。一方で、第一種金融商品取引業者は、流動性の高い株式や債券の売買・勧誘等が行える業者で、証券会社等がこれに該当します。

一般的に、第一種金融商品取引業者は第二種金融商品取引業者に比べて取扱商品の数、取扱金額が大きく、人的要件、資産要件も第一種金融商品取引業者の方が厳しい事から、一概に良し悪しの判断材料とはならないですが、必然的により高度な内部管理体制が求められると言えます。

CB: 日本クラウド証券に対して何かご意見、ご期待を頂けますでしょうか?

誠に失礼ながら、御社も過去に行政処分を受けており、業務改善命令の内容を確認させていただきましたが、「事実を誤認させる恐れのある広告」について指摘を受けております。平成28年7月に経営陣の刷新があり、それ以前の事実についての指摘であるとお聞きし、また、既に貴社ホームページでも業務改善の状況は確認出来ますが、この事案に対する対処に止まらず、継続的な業務見直しを図られることを期待します。

業務の見直しに関しては、金融庁の検査結果事例集などを参考に、“最近特に何が問題となっているか?”等を確認し、見直しする業務内容について社外役員の意見をお聞きするなど、外部専門家との対話を通じて、内部者だけでは気付かない部分を充足することが重要だと思います。

私の専門とする不正対策の分野では“安全より安心”を求めており、これは、“色々あったが、結果全く問題無かった(安全であった)”というよりも、“過程に全く問題が無かった(安心であった)”が社会から求められる、と言う事です。

そのためには、結果のみならず、業務の過程において顧客である投資家へ良い情報も悪い情報もしっかり公開し、信頼を得ていくことが重要であると考えています。これらの会社の守りの対策と、前向きな対策、今まで資金調達が難しかった分野へ資金を供給し日本の経済成長の一翼を担うと言う事を両輪に、益々発展されることを願っています。

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小林弘樹の経歴

株式会社アキュレートアドバイザーズ

公認内部監査人(CIA) 公認不正検査士(CFE) 宅地建物取引士

2011年8月

  • 株式会社アキュレートアドバイザーズ設立
  • 公認内部監査人(CIA) 公認不正検査士(CFE) 宅地建物取引士
  • 不正対策、反社会的勢力対策のための助言・講演、社内不正調査、保険不正調査、監査、IT事業を行っている。

2008年7月

  • 株式会社フィット 取締役

1998年6月

  • 大阪府警察本部 財務捜査官 拝命

1992年4月

  • 株式会社住友銀行(現 三井住友銀行)入行

小林弘樹の出版物

財務捜査官が見た不正の現場

詐欺、横領、粉飾決算、闇社会への融資。
組織がらみの不正は、当事者の破滅にとどまらず、企業の業績悪化、信用取引への影響など、社会にもたらすダメージも甚大です。にもかかわらず、なぜ不正は繰り返されるのか。

大手都市銀行勤務を経て大阪府警財務捜査官を拝命という特殊な経歴を持つ小林だからこそわかる「不正の構造」に切り込み、実際の事件を振り返りながら、経営者や個人が加害者や被害者にならないために気をつけなければならないことなどを記しております。

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インタビュー内容は当ファンドのパートナーの立場での発言であり、当社の見解ではございません。