老後2,000万円問題は資産運用で備える!老後に必要なお金とおすすめの資産運用方法


資産運用で2000万円

「人生100年時代」「老後2,000万円問題」などといわれているように、老後に必要なお金をどのように準備するかは、誰しも避けられない課題となっています。給料や退職金だけではまかなえないことから、資産運用の必要性を再認識している人も多いのではないでしょうか。社会保障である年金だけでは、老後の生活は立ち行かない可能性が大きくなっています。

ここでは、老後に備えて資産運用を検討している人に向け、資産運用の重要性や取り組みやすい資産運用の種類・特徴を紹介します。ゆとりある老後生活に向けて、今から資産運用の仕方を検討してみてはどうでしょうか。

なぜ資産運用が重要なのか

老後の生活では、実際のところ、何にいくらくらいかかるのでしょうか。
総務省統計局の家計調査報告によると、高齢夫婦世帯(夫65歳以上,妻60歳以上の夫婦1組のみの世帯)における1か月の実支出は約27万円といわれています。

高齢者無職世帯の家計支出図

男性の平均寿命はおよそ男性が81歳、女性が87歳と言われているため、60歳で定年を迎えた場合、20年以上も年金や貯蓄の切り崩しなどで生活をしていかなければなりません。

2019年6月に金融庁の金融審議会が「平均的なモデル世帯では公的年金の老齢給付以外に1,300万~2,000万円の老後資金が必要」と発表しましたが、この金額は公的年金などの社会保障給付がある前提で計算させています。年金がいくらもらえるか不透明であるため、「2,000万円」の貯蓄があれば絶対に安心とは言えないと考えます。

60歳定年後の余命が25年、1か月の実支出を27万円とした場合、年金含めて8,100万円の老後資金が必要となります。

この老後資金を節約によって貯金するのは難しいため、定年退職後もできるだけ仕事を続ける人が増えています。老後に不安を感じる人は、私的年金などの資産運用でさらにお金を増やすことも重要になってきます。

資産運用の種類と特徴

資産運用の案内

資産運用と一口にいっても方法はさまざまです。ここでは、初心者でも始めやすい手軽なものから、ステップアップした上級向けまで、それぞれの特徴を紹介します。

保険、個人年金

貯蓄型保険での資産運用は、年利1~2%と定期預金よりも利率が高いのが特徴です。超低金利政策が長引くなか、リスクを押さえながら少しでも貯金を殖やしたい人に向いています。万一の際に備えつつも、満期まで加入し続ければ解約払戻金や満期保険金が受け取れます。

月々の保険料は高いですが、毎月自動引き落としで支払うため、初心者でも計画通りに資産運用を続けやすい点はメリットです。「貯金する」と決心してもなかなか続かない人は貯蓄型保険を検討してみてはどうでしょうか。

個人年金保険は、公的年金で不足する部分を補うために個人で加入するものです。「生命保険料控除」「個人年金保険料控除」の対象になるため節税効果も見込めます。

リスクの低い保険や個人年金ですが、元本割れのリスクはゼロではありません。途中解約した場合は特に元本割れの可能性が高くなりますのでご注意ください。

投資信託

投資信託とは自分の資産を専門家(ファンドマネージャー)に運用してもらう方法です。多数の個人投資家から集めたお金を株式や債券などに投資して、その運用利益が分配されます。逆に損失が出た場合は預けた資産が減ってしまいます。

投資信託は1口数百円から始められるものもあり、初心者でも気軽にできる資産運用です。また、分配金を決められた期日に都度受け取ったり利益を再投資したりするなど、運用方法も選べます。

証券会社は集めた資金をさまざまな投資対象に分散するため、たとえ1口でもリスクを抑えられるのがメリットです。1つの銘柄や債券で損失が出ても他で利益が出るように投資対象をバランスよく組み込んでいます。元本割れのリスクはありますが、たとえば個人で1銘柄の株式を所有するよりはリスクを低くできます。

NISA(少額投資非課税制度)を利用すれば、「一般NISA」や「つみたてNISA」など各制度の投資上限額内と非課税期間内で節税が可能です。

J-REIT

REITとは、個人投資家から集めたお金で不動産投資の専門家がマンション・オフィスビル・ホテルなどの不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品です。数万円程度の資金から不動産投資をできるのが特徴で、売却益や賃金収入が発生すると、投資額に応じて分配金を受け取れます。投資信託の不動産バージョンとイメージすればわかりやすいのではないでしょうか。REITはアメリカで生まれた仕組みであり、国内のREITは「J-REIT(ジェイ・リート)」と区別して呼ばれます。

J-REITは証券取引所に上場しており、株式のように換金性が高いのがメリットです。J-REITの分配金利回りは2020年3月時点の約4.8%に対して、東証1部の配当利回の平均が3%未満であり、比較すると高利回りの商品です。ただし、物価変動によって不動産価値や賃貸収入の減少などが発生すると配当金が少なくなります。また、上場株式と同様に、J-REITも上場廃止のリスクがあります。

株式投資

株式投資とは、株式会社が発行する株式を購入して株主となる方法です。東証一部やマザーズ、JASDAQの銘柄など、証券取引所に上場されている株式を売買することができます。具体的には証券会社に口座を作り、インターネット経由で売買注文を出すのが一般的です。

株価は売り手と買い手の受給バランスによって変動します。売り注文より買い注文が多ければ株価は上昇し、逆の場合は下落します。

株価は小さなニュースでも上下することがあるので、世の中の出来事に広くアンテナを張っておく必要があります。そのため、初心者向きの資産運用ではありません。しかし、長期間運用するうちにスキルを身に付けて運用効率を高めることもできます。

「企業を応援している」「日本経済を支える一助になっている」などと社会的意義を持てるのも株式投資のメリットです。

株主になると以下の権利を持ちます。
・利益配当請求権:持っている株式枚数に応じて配当金などを受け取れる権利
・議決権:株主総会での発言・投票など、会社経営に参加する権利
・残余財産分配請求権:倒産したときに財産の分配を受けられる権利

老後資金は預貯金と資産運用を並行して

コツコツ銀行に預け、お金を貯めていくことも大切です。ただし、大手都市銀行のスーパー定期1年物の年利は0.002%(2020年9月現在)であり、預金してもお金はなかなか増えません。そのため、少しでも早く資産運用をスタートすることをおすすめします。30代以降では半数以上の割合で何らかの資産運用をしており、年齢が高くなるほど老後に備えて運用額を増やしていくのが一般的です。

資産運用の方法はさまざまですが、貯金に近い感覚で運用できる保険や個人年金は、投資初心者に向いています。投資信託は、専門家が分散投資していることから比較的低リスクです。また、高利率を望むならREITや株式投資という方法もあります。それぞれ特徴があるので、年齢や投資に対する考え方などに合ったものを選びましょう。