クラウドファンディングのやり方とは?種類別の特徴や支援の手順を理解しよう!


クラウドファンディングのやり方とは?

新規事業の立ち上げや自分の夢の実現などのために必要な資金を調達する手段のひとつに、「クラウドファンディング」があります。インターネットを通じて簡単にプロジェクトに参加できることやテストマーケティングを兼ねた資金調達ができるなど、資金提供する側と資金調達する側の双方に魅力的な特徴があることから、昨今、利用者が増えている資金調達手段です。

ただし、クラウドファンディングと一言でいっても、その種類はさまざまあります。そこで、この記事ではクラウドファンディングの種類や支援の方法について説明します。

クラウドファンディングとは?

そもそもクラウドファンディングとはどのようなものなのでしょうか。ここでは、クラウドファンディングの概要と歴史について解説します。

クラウドファンディングの概要

クラウドファンディングとは、「群衆」という意味の「crowd」と「資金調達」を意味する「funding」を組み合わせて作られた造語で、英語では「crowdfunding」と表されます。

クラウドファンディングは、インターネット上のプラットフォームを通じて不特定多数の資金提供者から資金を集めることができる新しい資金調達手段です。

資金需要者(起案者)がお金を必要とする理由を公開し、その内容に共感した方から資金を集めるというのがクラウドファンディングの基本的な仕組みです。

市場開拓や新規事業の立ち上げ、自分の夢やアイデアの実現などクラウドファンディングを活用する理由はさまざまです。

最近では大企業もクラウドファンディングを活用しており、なかには資金調達を主な目的とするのではなく、テストマーケティングの手段としてクラウドファンディングを活用しているケースがあります。新商品・新サービスを本格的に展開する前に消費者の反応を調査することができることもクラウドファンディングのメリットの一つです。

クラウドファンディングの歴史

クラウドファンディングの始まりは書籍編集者のジョン・テイラー氏が書籍の印刷費用を寄付で集めた17世紀初めのできごとであるとされています。テイラー氏は資金提供者に、お礼として「書籍に名前を掲載する」権利を与えました。

その後、1884年のニューヨークの「自由の女神像」の建造の際にも、クラウドファンディングのような資金集めの手段が利用されました。「自由の女神像製作委員会」が使い果たしてしまった建設資金を補うために、新聞の紙面で女神像の台座資金の寄付を市民に募りました。

現在の形になって普及したのは2001年のアメリカからで、日本で広く知られるようになったのは2011年に起きた東日本大震災のときです。東日本大震災の復興支援資金の調達にクラウドファンディングが利用されました。

クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングは事業の立ち上げや夢の実現のために活用されるものというイメージを持っている方も多いかもしれません。たしかに、従来はそのような目的で活用するケースがほとんどでした。しかし、現在では資産運用を目的として活用する方もみられ、むしろ増加傾向にあります。

このように、クラウドファンディングの目的はひとつではなく、目的に応じて活用方法もさまざまです。ここでは、クラウドファンディングの主な4つの種類について仕組みや特徴を紹介します。

寄付型クラウドファンディング

寄付型は、寄付を募って必要なお金を調達する方法です。主に、被災地や発展途上国の支援、ボランティア活動のための資金集めに利用されます。一般的に寄付とは無償提供を前提とするため、基本的には資金提供者へのリターンはありません。ただし、手紙やメールによるお礼や写真などが送られることはあります。また、資金提供者への報告として、プロジェクトの進行状況や活動の成果などを進んで公開している起案者が多くいます。

購入型クラウドファンディング

購入型は、資金提供者にサービスや商品を購入してもらう形で、起案者が資金提供を受ける方法です。起案者は資金を募る際に、実現したい商品やサービスを設定します。商品やサービスの趣旨や発売に賛同した資金提供者はリターンを選択し、資金を提供します。資金提供者に対するリターンは、金銭ではなく、プロジェクトに関わる商品やサービスである点が購入型の特徴です。

さらに、購入型の募集方法には大きく分けて2つの方法があり、2種類の募集方法ついてそれぞれ説明します。

All or Nothing型

資金を募る際に、起案者は支援金の目標金額を設定します。そして、目標金額に達した場合にのみ起案者が支援金を受け取れる方法がAll or Nothing型です。目標金額を達成しなかった場合には、支援は受けられず、支援金は資金提供者のもとに戻されます。資金提供者に対するリターンもありません。

All In型

目標金額に達しなかった場合でも、資金提供者が1人でもいれば支援金を受け取れる方法がAll In型です。起案者は集まったすべての支援金を受け取ることができ、プロジェクトを実行できます。同時に、起案者にリターンを履行する義務が生じます。
購入型クラウドファンディングのイメージ4

投資型クラウドファンディング

投資型にはファンド型・不動産型・株式投資型・融資型の4種類があり、ファンド型は投資による分配金が資金提供者のリターンとなる仕組みです。資金提供者が投資するのは企業の特定の事業で、分配金はその事業の業績に応じて決まり、分配金の保証はなく、業績悪化等によって元本割れする恐れがあります。

株式投資型は非上場株式の株主を募集することを目的とし、投資家は非上場企業の株式を取得し、投資した企業が株式上場や他社に売却された場合、キャピタルゲインを受け取とることができる可能性があります。

不動産投資型は資金需要者が投資家から集めた資金で不動産を運用し、その収益が資金提供者へのリターンとなるシステムです。家賃収入だけではなく、不動産売却時にも収益が発生することがあります。

融資型はお金を運用したい個人の資金を集めて、ファンドを通じてお金を借りたい企業に貸付けるサービスであり、「ソーシャルレンディング」とも呼ばれます。資金提供者1人が出すお金は少額ですが、クラウドファンディング業者が複数の資金提供者からの資金を大口化し融資を実行します。融資先企業から受け取った利息の一部を資金提供者にリターンとして分配し、融資先から元本の返済が行われた場合に投資元本を資金提供者に償還します。

基本的に企業から毎月支払われる予め定められた利息がもととなり、日々値動きがある金融商品ではないため、管理の手間は不要です。ただし、融資型には融資先企業のデフォルトリスクがあり、リターンや元本の保証はありません。

クラウドファンディングで資産形成

クラウドファンディングの支援のやり方

ここでは、一般的なクラウドファンディングの支援の方法について、手順に沿って説明します。ただし、利用するサイトやサービスによって支援の方法が異なる場合もあるため、利用先の方法を確認したうえで実行するようにしましょう。

1.クラウドファンディングサイトに登録

クラウドファンディングを行うためには、まず利用先を選ばなければなりません。クラウドファンディング業者は複数あり、なかには特定の分野を専門としているところもあります。たとえば、ガジェット関連や飲食店の起業、地元を応援するプロジェクトや起案者を女性限定にしたサービス等です。数あるなかから自分に合ったサイトを選択したら、アカウントを作成しましょう。

2.支援するプロジェクトとリターンを選択

利用するサイトが決まったら、次に行うのはプロジェクト選びです。募集中のなかから支援したいプロジェクトを選びます。さらに、リターンを複数用意しているプロジェクトの場合には、希望するリターンを選択します。

3.支払い方法選択・決済

続けて行うのが支援金の支払い手続きです。支払い方法を選び、決済を行います。決済方法の選択肢は、クレジットカードや銀行振込み、コンビニ払い、携帯電話会社のキャリア決済やPayPalなどさまざまです。ただし、サービスによって選択できる決済方法は異なるため注意しましょう。

4.リターン送付先情報の登録

選択したリターンを受けるためには、自分の情報を登録しておくことが必要となります。登録する内容は通常、送付に必要となる住所や氏名、連絡が取れるメールアドレスなどです。

5.プロジェクトの進捗状況の確認

支援したプロジェクトがその後どのような状況となっているかは、プロジェクトのページから確認できるようになっています。購入型の場合にはプロジェクトの方式がAll or Nothing型かAll in型かによって、実行の有無やリターンを受けられるどうか変わります。

クラウドファンディングは誰にでもできる誰かの支援

クラウドファンディングは、誰かの夢や事業を応援する支援者として、誰でも参加できるサービスです。プロジェクトには小口から参加できるのが一般的であり、出資したら終わりではなく、プロジェクトに関わる一員として進捗状況をみる楽しみを味わえたりできる点も魅力です。

クラウドファンディングの支援の方法は、サービスごとに決められた手順に従って行えば、特に難しいものではありません。気になるプロジェクトがあったら、支援してみてはいかがでしょうか。